部活をやめたい ~大学で部活をするということ~

なんで僕はこんなことしているんだろう。 最近、部活をやめたいという気持ちが強い。 いや、最近というわけでもないのかもしれない。 必死に勉強して今年の春、僕は某国立大学に入学した。 周りに知り合いが誰もいなかった当時の僕にとって、まず目下の課題となったのは、如何に友達をつくるか、だ。 また、入学前に、大学という所はどうも人間関係が浅くなりがちらしい、という情報を手にして焦っていたことも影響していたかもしれない。 さまざまなサークルが個性的な勧誘を仕掛けてくる中、気まぐれで体験に訪れたその部活で 「部活ばいいぞ、一生の付き合いになる仲間ができる」 と言われた。正直惹かれた。 結局ノリと勘で入部してしまった僕は、自分が数ある団体の中から「部活」に所属したということを思い知らされる。 大学生活の全てをその競技に捧げることを前提とした部活において、その覚悟がない僕にとってはコストが負担でしょうがなかった。 コストというのは、金銭的なものと時間的なもの両方であり、競技の特性上、一月に一万は下らない額がかかった。大学生の身分には辛い出費である。 また、正規の練習以外にも任意で参加できる練習、自主練やミーティングの時間を含めると多くの時間をとられ、残りを課題や休息ですべて費やすことになる。自由な大学生活を夢見てきた僕にとって、これは非常につらいことだった。 高校も部活に所属していた僕は、はじめにこのような現実を知ってしまった時点で部活をするモチベーションが低くなってしまい、任意の練習などに行くことは少なかった。 思えば、この時点でやめてしまえばこれほど悩むことも無かったのかもしれない。 それでもなお僕が部活に居続けたのには理由があった。 一つは、所属するコミュニティから離れるという孤独感。友達がいないことへの恐怖とも言い換えられる。 一つは、部活から解放された自分が無為に時間を過ごしてしまうことへの不安感。僕は受験を通して、自分の怠惰を良く理解していた。 また、時間が経つにつれ少しずつ、競技に慣れて多少楽しく感じるようになってきていた。同期とは打ち解け、共に過ごす時間がまた楽しかった。先輩にもお世話になることが多く、恩を感じはじめた。 辞めづらくなったとも言う。 僕はひたすらに中途半端だった。 合宿が控える夏前になると、このままではいけないと思うようになった。部活の良さにも気づきだしていた僕は、当時のどっちつかずな状態のまま辞めることができず、 「せめて試合に出てから判断しよう。そのためにそれまではしっかり部活に取り組もう。ひょっとしたら、違う世界が見えてくるかもしれない。」 これが結論だった。 それ以来僕は以前とは別人のように部活に打ち込むことができたのであろうか。少なくとも周囲にはそう見えていたようだ。 やる気がないと思われていた僕は、周りに「やる気でたんだね」と言われることが多くなり、さらに部活のメンバーとして仲を深められた気がする。 悪い気はしなかった。 そして、最近改めて部活について考えてみて、思った。 少し面倒だけど、普通に楽しいじゃん!! そんな現状を無理して変える必要が果たしてあるのだろうか? 一緒にいて楽しい仲間がいる。 わざわざ僕に手取り足取り教えてくれる、休みには遊びや飲みに誘ってくれる(奢ってくれる)先輩がいる。 単純に競技自体も楽しくなってきた。 人生経験としても素晴らしい。例えば、 仕事ができるようになる。 対人能力が上がる 体力がつく(筋肉がつく) また、もっとゲンキンな話をすると、 部活は就活においてこれ以上ないくらいにウケがいい。 部活で培う強固な絆は、強固なコネとなる。 部活というだけで、人からの評価が上がる。 一つ一つ挙げると、本当に素晴らしい場所なのだと思う。 しかし しかしだ。 僕にはやりたいことが、大学生のうちにやっておきたいことが余りにもたくさんある。 部活を続けつつ、なんてことはできない。 普段忙しければ、休みを文字通り休みとして使うのが僕という人間だ。 僕は自分の怠惰を良く理解している。 やりたいことがいっぱいあるのに、やりすぎるのは嫌、 というのは矛盾しているだろうか。でも、それが僕だ。 部活を続ければ、同じような一週間がひたすら続くことだろう。それはこれまでの学生生活で十分すぎるほど味わった。また、おそらく社会人になっても、味がなくなるほどに。 成功ばかりの人生では、つまらないじゃないか。 今しかない。 好き勝手できるのは、今しかないんだ。 僕は、僕の人生を、諦めることにかける。そう決めた。 あとは、僕がみんなの前でそれを伝えることができるかどうかだが、正直、マジで心苦しい。 当然のことだが、僕みたいにわき目を振ることもなく部活に励む同期の皆んなは、先輩たちは、本当に楽しくていい人ばかりだ。きっとこの先充実した人生を送ることだろう。 恩がある。 友情がある。 信頼も…。 どれも簡単には、もしかしたら二度と、手には入らないものだ。 やめたらきっと後悔するだろうな。 でも、やめなくてもきっと後悔するだろうな。 やはり、もっとはやくに辞めておくべきだった。 仲間と来年の話もしてしまった。 でも、辞めていたらこの世界を知ることはできなかった。 すぐに辞めてしまわなくて良かった。 とりあえず、今度部長に話をしてみようと思う。 僕をこの部に引き入れてくれた部長に。 怒るだろうか、止めるだろうか、悲しむだろうか、あきれるだろうか。 怖い。 その後は、はじめての試合まで引き続き真剣に取り組もうと思う。試合が心底面白くて、気が変わった時のために。 我ながら最後まで中途半端だ。 とにかく僕がこの話で伝えたかったのは、 部活をやめることは、人生を変えること。 ということです。 小中高大関係なく、多感で吸収が早い少年時代の大部分を過ごす部活、あるいはサークルという団体は、誇張なしにその人の人格や生き方の形成に関わってくる。 僕の場合試行錯誤の末、辞めるという回答にたどり着きましたが、人によってはもう一つの道もきっとあるはず。 ただ僕も含め、その答えが正解かどうかは、歳を取るまでわからないでしょう。 そのわからない未来に向け、僕は若者らしく走り回ってみようと思います。 わからない人生というのは楽しいですね。 皆さんにも楽しい人生が訪れますように。 拙文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。 では、また。